心臓リハビリテーション

●はじめに

 心臓リハビリテーションは重要な治療の一環であるにもかかわらず、ご存知ない方が多いと思いますので、ここでは心臓リハビリテーションとはどのようなものであるか簡単にご説明させていただきます。
 高齢化に伴い心臓疾患を合併される患者さんは非常に多くなりました。心臓疾患はすぐに命に関わる病気と思われがちですが、非常に重い病状を除けば、適切な治療により他の方々と同じような生活が送れて寿命を全うされる患者さんが増えております。
 この30年ほどの心臓病の治療は飛躍的に進歩しました。心臓バイパス手術やカテーテル治療、これまでの概念を覆すようなお薬の治療などいくつかのブレークスルーがありました。
 幸い私が医師になり心臓病疾患にたずさわって来ました時期は丁度この頃にあたり、多くの患者さんが治療の恩恵を受けられお元気になられる姿を見て参りました。
 しかし一方で、同じような治療を受けながら、とても良い経過をたどる方と、残念ながら不幸な結果になってしまう方がおられたのも事実でした。その頃より運動療法が心臓病には重要であるとの提唱がなされるようになり、日頃診療をしながら体格が良く運動を積極的にされている患者さんは確かに経過が良いなと膝を打つ思いでした。一昔前までは心臓病に対して運動は危険なものであるとの認識が一般的であったことを考えると、まさに逆転の発想と言えるでしょう。
 その後心臓リハビリテーションに関しては積極的に取り組むことで、日常生活の質の向上はもちろん生命予後の改善がもたらされると多くのデータが集積されるに至り、今日心臓疾患においてはリハビリテーションは最も重要な治療の一つとされております。

●どのような運動か

 皆様も、病院にかかられたり健康診断の結果から運動不足を指摘されることがあるかもしれません。では運動をしましょうと言われても、どの程度の運動をすれば良いのか、なかなか自分では分かりにくいと思われます。
 心臓疾患に推奨される運動はいわゆる有酸素運動になります。肺から取り込まれた酸素とエネルギー源を燃焼して筋肉を働かせる運動のことを有酸素運動といいます。それ以上に強度の強い運動は肺から取り込まれた酸素のみではエネルギーが作られず、無酸素下にエネルギーが作られます。
 無酸素運動は筋力アップに役に立つ運動となりますが、心臓リハビリテーションでは主に有酸素運動を指導しております。
 ただ有酸素運動と言いましても、年齢、体格、病状、普段の運動量などによって個人個人で大きく異なります。
 当院では心肺運動負荷検査(CPX)を用いて皆様の適切な有酸素運動となる運動量をお調べし、それに沿った運動処方を行います。
 心臓リハビリテーションのプログラムでは有酸素運動を医師の監視下にて行い、厳密に血圧 心拍数の管理を行います。

●どのような方が対象か

①慢性心不全
②狭心症
③心筋梗塞
④心臓血管手術後
⑤下肢閉塞性動脈硬化症
の方は保険診療の対象となります。

●どのような効果があるのか

①心不全の方では運動能力がアップするので息切れが起こりにくくなります
②狭心症の方は同じ運動をしても、狭心症が起こりにくくなり運動量が増えます
③下肢閉塞性動脈硬化症では同じ距離を歩いても下肢の痛みか出にくくなります
④動脈硬化の予防効果があり、血管の弾力性が改善することで血栓症などか起こりにくくなります
⑤心臓病の再発率が下がり、死亡率も下がります
⑥運動によって、精神的な症状の改善が見込まれます

心臓リハビリテーション室

心臓リハビリテーション室

大阪府藤井寺市道明寺2丁目5-29

072-955-1206072-955-1206

休診日:木、日、祝、年末年始


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